『演劇と教育』(第699号)

日本演劇教育連盟編集の機関誌、『演劇と教育』の第699号(2017年11月号、晩成書房)を、読みました。特集は、「演劇教育を学ぶ 2017-全国演劇教育研究集会報告」。

大学生の頃は、全劇研に、毎年のように参加していましたが、この10年くらい、参加していません。教えている大学の成績提出の締切りと重なるというのが、おもな理由です。

参加している人のほとんどが、小中高の教員で、研究者として参加すると、少なからぬ疎外感をかんじるというのもあります。

昨年度は、日本演劇教育連盟創立80周年ということで、宮城・登米とか、滋賀・草津でも、全劇研が開かれたようですが、宿泊費や交通費、講座費用を払ってまで、参加しようという気にはなりませんでした。

私が変わったのか。それとも、演教連や全劇研が変わったのか。私は演教連に、どのように貢献できるのか。いろいろと考えながら、読み終えました。

『演劇と教育』(第698号)

日本演劇教育連盟編集の機関誌、『演劇と教育』の第698号(2017年10月号、晩成書房)を、読みました。

特集は、「すべてはごっこ遊びから!?」。2番目に、「実践からの提起」が載っていたのですが、読んでいて、すこし違和感を覚えました。

実践記録としてまとめるべきものを、研究論文の書式で書いているので、どっちつかずで、読みづらいのです。実践記録と研究論文は、重なる部分もありますが、目的、想定する読者、書きかたもちがうものです。

それから、「冨田博之記念 演劇教育の記録(実践・研究)」の募集が、応募数減少のため休止というニュース。(この3年で、1篇だけの応募とか)。私も2回応募して、両方とも落選しているので、ちょっと感慨深く読みました。

いまでは、「実践記録を応募するところに、研究論文を送ってしまった」と納得していますが、当時は、ショックでした。「2か月間、自宅に籠って、なんのために身を削りながら、書いたのだろう」と、茫然としたものです。

賞には、特別秀でた作品を表彰するものと、新しい担い手を育てるものがあります。この賞は、後者として始まった気がするのですが、過去の選考経過を読むかぎり、前者でした。「もうすこし寛容であれば、もっと新しい書き手が育ったろうに」と、思います。

『児童・青少年演劇ジャーナル げき』(第17号)

児童・青少年演劇ジャーナル〈げき〉編集委員会編集の雑誌、『児童・青少年演劇ジャーナル げき』の第17号(2017年、晩成書房)を、読みました。

巻末の戯曲以外は、すべての記事に目を通しました。あいかわらず、読みごたえがあったし、読んでいて面白かったです。

執筆者も、学校の教員から、児童青少年演劇劇団関係者、研究者まで、いろいろな団体の垣根を越えて集まっていて、いいなあと思いました。

特集は、「子どもと演劇の今」。興味深かったですが、座談会やフォーラムの記録が、すこし長いのが、気になりました。14-16頁にわたっていて、読むことを仕事にしている私でも、一気に読めません。

小特集は、「乳幼児と舞台芸術」。関心を持つ人が増えてきて、実践も増えてきています。「少人数の観客を対象にした演劇なので、公的助成がないかぎり、実践は難しいだろう」と思っていたのですが、いい意味で、予想が裏切られています。

あと、「新しい実践をおこなっている人は、時間もつくって、文章も書いているなあ」と思いました。連載の締切りに間にあわなかった、自分の至らなさを反省します。

『演劇と教育』(第697号)

日本演劇教育連盟編集の機関誌、『演劇と教育』の第697号(2017年8+9月号、晩成書房)を、読みました。(読み終わったのは、かなり前なのですが、感想をアップしていませんでした)。

特集は、「子どものための脚本 2017」。小学生の劇づくりの座談会と、中学生向けの脚本が2本、載っていました。

私は、演劇教育を研究していますが、長い脚本を書いたことはありません。カナダのトロントで、小学6年生に日本語を教えていたとき、学芸会用のみじかい脚本を書いたくらいです。

この雑誌も、脚本は基本、読みません。「たぶん、書きはじめたら、嵌まるんだろうなあ」とは思うのですが。

そうそう、私の書いた、「アシテジ(南アフリカ)世界大会参加報告」も、載せてもらいました。ありがたいです。

『子どものしあわせ』(第803号)

日本子どもを守る会編集の雑誌、『子どものしあわせ 』の第803号(2018年1月号、本の泉社) を、ざっと読みました。

日本子ども守る会は、1952年に誕生。「児童は人として尊ばれる」とうたった児童憲章が制定された翌年のこと。初代会長は長田新。

当時は朝鮮戦争の最中。米軍の前線基地となっていた日本の子どもたちは、生活・教育・文化・福祉・健康・環境のすべてにわたって、児童憲章が踏みにじられる状況下にあった。

この現実を黙視できないと、親や教師はもちろん、広範な顔ぶれの人々が結集し、思想・信条のちがいをこえて、子どもの人権と平和を守る国民的な運動を進めてきたそうです。

今回の特集は、「世界の子どもたち-フィンランド・韓国・南アフリカ」。

私が翻訳した、「子どもたちの生活と芸術をつなぐ-南アフリカの子どもたちと演劇活動」(イヴェット・ハーディ、アシテジ会長)も載っています。4頁ですが、自分の仕事がかたちになるのは、うれしいものです。

『カナダ研究年報』(第37号)

日本カナダ学会の紀要、『カナダ研究年報』の第37号(2017年)を、読みました。めずらしく、通読しました。

興味深かったのは、荒木隆人による論文、「ライシテと『ケベック価値憲章』に関する考察-歴史文化的遺産と宗教的シンボルをめぐる論争を通じてー」。

「ライシテ」とは、「フランスにおける、政教分離、良心と信教の自由、国家の中立性、モラルの対等性などの原則、政策」です。

フランス語文化が強く維持されている、カナダのケベック州で、「開かれたライシテ」という思想が、どのように広まっているか、「ケベック憲章」(ケベック州議会で提案されたものの、廃案となる)をめぐる議論から、分析しています。

カナダのある州で、公務員が勤務中に職場において「あからさまに」宗教的シンボル(ユダヤ教徒のキッパ、イスラム教徒のターバンやブルカ、キリスト教徒に関係する「大きな」十字架など)を着用することを禁じるか否かという問題は、日本から見ればそれほど大事なことかとも思います。

ただ、その分析から、「政治と宗教」、「多様性と公平性」、「ケベック州の特殊性」といったテーマが、浮かびあがってきます。たぶん、これが研究者の仕事なのでしょう。

それにしても、日本にいると、カナダの情報が、なかなか入ってきません。そのために、こういう学会があるのだろうなと思いました。

『演劇と教育』(第696号)

日本演劇教育連盟編集の機関誌、『演劇と教育』の第696号(2017年7月号、晩成書房)を、読みました。

特集は、「かんがえて 子どもに一番いいことを-生かそう『子どもの権利条約』」。日本がこの条約を批准してから、20年余りということです。

条約の全文を読んだわけではありませんが、かなり先進的、また肯ける内容だと思います。とくに、第31条を大切に思っている、児童青少年演劇関係者は、多いようです。

「第31条.1 締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める」

「第31条.2 締約国は、児童が文化的及び芸術的な生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進するものとし、文化的及び芸術的な活動並びにレクリエーション及び余暇の活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する」

とくに、福島や熊本の子どもたちと遊びの実践報告を読んで、「被災地では、子どもの権利を保障するのは、なかなか大変だなあ」と思いました。

あと、吉田哲夫さんの映画の鑑賞報告を読んで、「まだ元気でいらっしゃる」と思い、うれしくなりました。(全国演劇教育研究集会の講座で、何度も、ごいっしょしたものです)。

『演劇と教育』(第695号)

日本演劇教育連盟編集の機関誌、『演劇と教育』の第695号(2017年6月号、晩成書房)を、読みました。

特集は、「『困った!どうしよう!』が言える職員室を」。座談会、報告、論考が並んでいました。『演劇と教育』では、珍しいテーマです。

私は、日本のほとんどの小学校、中学校、高校は、ブラックな職場だと思っています。1クラスの児童生徒の数は、欧米に比べて、多いです。そして、授業にくわえて、会議や資料作り。ざらに、課外活動の指導が、期待されます。

とくに、初任の教員は、どうしてもわからないことが多いです。職員室で、悩みを打ち明けたり、助言をもとめたりできなければ、精神的にまいってしまう教員もでてくるでしょう。

まずは、1クラスの児童生徒の数の削減、授業でのボランティアの活用、事務職員の増員、課外活動での外部指導員の採用が、急務だと思います。

ほとんどの教員は、誠実で、文句も言わず、子どもたちのために、全力で当たろうとしています。勤務時間外に授業準備をしたり、自分のお金を使って研修に参加したりしています。そういう人材が生かせる職場であってほしいと思います。

『演劇と教育』(第694号)

日本演劇教育連盟編集の機関誌、『演劇と教育』の第694号(2017年5月号、晩成書房)を、読みました。(読み終わったのは、かなり前なのですが、感想をアップしていませんでした)。

特集は、「学芸会っていいよね!」。畠山保彦の論考は、よくまとまっていると思いました。編集部によるアンケートは、回答の数が少なく、一般化はできないと思いましたが。

万年美穂の「劇『小松菜物語』を創る」も、総合的な学習の時間から学芸会へとつなげる、いい実践だと思いました。

私の知る範囲では、学芸会や学習発表会を復活させる学校が、すこしずつ増えているかんじです。

私が教えていた、カナダのトロント国語教室でも、学芸会と運動会は、大きな行事でした。準備は大変ですが、子どもたちの学習の励みになり、よい思い出ともなります。これらの行事を大切にする学校が増えることを祈ります。

『演劇と教育』(第693号)

日本演劇教育連盟編集の機関誌、『演劇と教育』の第693号(2017年4月号、晩成書房)を、読みました。

特集は、「〈支援者〉としての教師」。小学校や中学校、地域で、支援者として子どもたちに接する実践が、紹介されていました。障碍を抱えている子どもたちへの支援が、多かった気がします。

以前、ブログに書いたことがありますが、「教員が、場合に応じて、複数の役割を果たすように求められている」ということだと思います。

「先導役」、「支援者」、「伴走的コーチ」、「ダンスのパートナー」、「仏様の指(困っているときに、気づかれないように、後ろからそっと押してあげる)」など。

あとは、「高校〈開放・表現・つながり〉の授業-文部科学省 児童生徒のコミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験(芸術家派遣)事業による神奈川県立横浜桜陽高校授業報告」が、印象に残りました。

よくまとまっている、魅力的な授業だと思いました。授業者の神尾タマ子さんと、南アフリカのアシテジ世界大会でいっしょだったことも、あるかもしれませんが。