『児童・青少年演劇ジャーナル げき』(第21号)

投稿者: | 2021年10月3日

すこし前ですが、児童・青少年演劇ジャーナル〈げき〉編集委員会の雑誌、『児童・青少年演劇ジャーナル げき』の第21号(2019年、晩成書房)を、読みました。

巻末の戯曲以外は、すべての記事に目を通しました。あいかわらず、読みごたえがあったし、読んでいて面白かったです。(読み終えるまで、ずいぶん時間がかかってしまいましたが)。

今回の執筆者も、学校の教員から、児童青少年演劇劇団関係者、研究者まで、いろいろな団体の垣根を越えて集まっていて、いいなあと思いました。

まず、特集の「TYA インクルーシブ・アーツ・フェスティバル 2019」。「TYA」とは「Theatre for Young Audiences(児童青少年のための演劇)」の略。「インクルーシブ(Inclusive)」とは、「包み込む」という意味。

障がいの有無、文化や人種そしてセクシャリティーなどの違いによって、分け隔てられることなく、誰しもがアーティストとして、観客として、子どもから大人までが一緒に参加することを目指したフェスティバルでした。

私も、夜間は通訳として、オリンピックセンターに泊まりこみ。昼間は、スタッフ・パスを使って、いろいろな舞台芸術公演を見たり、講座にでたりしたので、記憶をたどるようにして、楽しく読みました。主催者、参加者だけでなく、スタッフの報告がいくつもあり、これもいいなあと思いました。

次の特集は、「人形劇フェスティバルの広がりと現在」。松本則子による、「全国の人形劇フェスティバル一覧」で紹介された数は、60。「日本には、こんなにたくさんの人形劇フェスがあるんだ」と、ちょっと驚きました。

それから、森田勝也の「演劇的手法を取り入れた教育活動の必要性とその実際」。このような雑誌では珍しい、学校の教員が書いた指導案付きの論考でした。

あと、西上寛樹の「「何を観るか」から「誰と観るか」へ- 演劇鑑賞教室の今」。論文としては、荒削りの部分もありますが、興味深い視点だと思いました。