すこし前ですが、國友公司の『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(2018年、彩図社)を、読みました。
私は普段、演劇教育とか児童青少年演劇の本を読んでいますが、ときどき、まったくちがう世界の本を読んでみたくなります。今回は、仕事で一区切りつき、頭を切り替えたくて、図書館から借りてきました。
著者は、1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中より、ライター活動を始める。キナ臭いアルバイトと東南アジアでの沈没に時間を費やし、7年間かけて大学を卒業。編集者を志すも就職活動をわずか3社で放り投げ、そのままフリーライターにということです。
著者の本では、『ルポ 歌舞伎町』(2023年、彩図社)を、読んだことがあります。読みやすい文章を書く人です。
内容は、「国立の筑波大学を卒業したものの、就職することができなかった著者は、大阪西成区のあいりん地区に足を踏み入れた。ヤクザ、指名手配犯、博打場、生活保護、マイナスイメージで語られることが多い、あいりん地区。ここで2カ月半の期間、生活をしてみると、どんな景色が見えてくるのか? 西成の住人と共に働き、笑い、涙した、78日間の体験ルポ」ということです。
冷房の効いた部屋で、2日で読みました。まあまあというかんじ。ドヤ街(日雇い労働者が多く利用する、簡易宿泊所が密集している地域)に泊まり、日雇い仕事、宿泊所のスタッフとして働いた記録は、興味深かったです。
私も、大学時代、中学の同級生の紹介で、千葉の幕張の新築ホテルの建設現場で、1週間くらい、アルバイトをしたことあります。1日で、ジーンズとシャツとシューズは、粉塵と埃だらけになり、高層階の排気口の掃除では、「落ちたら、死ぬな」と思いました。アルバイト料は高額でしたが、(実は受けとり損ねたのですが)、もう1回やりたいとは思いません。
ただ、「廃材を載せて、ねこ車(工事現場などで使われる一輪車)を押すときは、一度バランスを崩すと、よろよろして、持ち直すのが大変なんだ」といった話は、学習塾の授業の雑談としては、好評でした。