『本当に君は総理大臣になれないのか』

投稿者: | 2023年6月17日

ちょっと前ですが、小川淳也と中原一歩の『本当に君は総理大臣になれないのか』(2021年、講談社)を読みました。小川淳也に興味をもっているというのもありますが、「インタビューが中心ということで、読みやすいかな」と思って、読みはじめました。

小川淳也は、香川県高松市生まれ。高松高校、東京大学法学部卒業。1994年、「官僚になって天下国家を支えたい」との思いから自治省に入省するが、やがて「官僚では社会を変えられない」との思いを抱くようになり、総務省を退職。2003年に民主党の公認候補として香川1区から立候補するも惜敗。2005年の「郵政選挙」で初当選。

民主党政権時代には総務大臣政務官などを務める。その後、政党の合従連衡によって民主党→民進党→希望の党に移るも、2018年の希望の党の解党にあたり、後継である国民民主党には合流せず、無所属となる。2021年5月現在、立・国・社・無所属フォーラムに所属し、立憲民主党議員運営委員会筆頭理事を務めるということです。

中原一歩は、佐賀県生まれ。ノンフィクション作家。高校卒業後、博多の屋台で働きながら、地方紙や週刊誌で執筆活動を始める。18歳で上京後、常にフリーランスの取材者として、『AERA』をはじめ、雑誌・ウェブメディアを中心に社会問題や食文化に関するルポルタージュを発表し続けているということです。

小川淳也関連では、映画で、『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』を見ました。また、和田靜香の『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』を、読みました。

この本は、「はじめに一つだけ確認しておきます。政治家の本にありがちな、馴れ合い、お世辞やお追従の満載、予定調和型のインタビューにするつもりは一切ありません。小川さんにとって答えづらいところもあるかもしれませんが、あとで活字になったゲラを見て「ここは都合が悪いからカットしてほしい」と言われてもお断りします。つまり完全な「ガチンコ」の取材なのですが、そのような条件でもよろしいですか?
小川 結構です。すべておまかせします。」とはじまります。

構成は、中原による小川のインタビューと、中原による小川の半生のルポルタージュが、交互に並びます。ただ、思ったほどの突っ込みは、ありませんでした。ルポも、好意的に書かれています。

小川は、「「地盤・看板・カバン」なし。野党で子分もいなくて、ほぼ無名。なのに、「将来の総理候補」として最近、人気上昇中。自称「日本を良くする政策オタク」。永田町での仇名は「修行僧」」ということです。

もしかしたら、メディアをうまく使う、新しいタイプの政治家かもしれません。ただ、「ブレーンがいないのに、総理大臣になれるのかな」という気はします。もうすこし、注目してみようと思います。