ウズベキスタンでのアシテジ・アジア会議⑦-観劇

ウズベキスタンでは、4つの演劇公演、1つの人形劇公演を見ました。

ウズベキスタン国立児童青少年演劇劇団によるものが、3つ。ウズベキスタン・ユースシアターによるものが、1つ。ウズベキスタン国立人形劇団によるものが、1つです。

児童青少年演劇劇団の公演は、『いたずら好きの少年』という、実際に起きた話をもとにしたもの。『驚くべき話』という、「ジュウマンジ」というゲームにあわせて、観客の子どもたちに、「災害にあった時に、どうするべきか」を、教えるもの。そして、『アラジンと魔法のランプ』でした。

ユースシアターの公演は、『劇的なステップ』という、観客の子どもたちの参加を得ながら、劇団員のさまざまなトレーニングや演出を紹介し、演劇への招待をするもの。人形劇団の公演は、『マッチ売りの少女』でした。

どれも、それなりのレベルで、バラエティがあり、楽しく見ました。ウズベク語の公演で、1時間30分から2時間座り続けたのは、ちょっと大変でしたが。となりの席で、英語に通訳してくれたボランティアの人は、さらに大変だったと思います。

ウズベキスタンでのアシテジ・アジア会議⑥-話しあい(その3)

3日目は、話しあいの続き。ただ、「参加者のそれぞれの仕事や考えや問題意識について、もっと知りたい」という意見がでて、ちょっと詳しい自己紹介からはじまりました。時間がかかりましたが、参加者同士の距離が縮まった気がしました。

それから、ある参加者の「舞台芸術公演の対象年齢を決めるには、観客の子どもたちの様子を見ることが大事。また、いっしょに観劇した教員や保護者の感想を聴くことも必要では」という発言から、フィードバックの方法について、話が広がりました。

私は、「日本では、学校での演劇鑑賞教室のあと、教員が子どもたちに、感想文や劇団への手紙を書かせて、それを劇団に送ることが多い。ただそこには、教員の検閲がはいる」

「そこで劇団によっては、公演のあとに、質疑応答など、アフタートークを設けるようになった。さらに進んで、劇づくりやリハーサルの現場に、子どもたちを招待して、いろいろ感想や意見を聞いて、劇を変えていったりする劇団も出てきている」と発言しました。

2日にわたっての話しあいは、興味深いものでした。これまでのアジア会議では、自己紹介と自分の国の児童青少年演劇の状況を話しただけで、終わってしまうことが多かったので、話しあいのテーマを選んだのは、よかったと思います。

ただ、「自己紹介は、最初に、時間を決めてするべきだったのでは」、「公用語は、英語に限定したほうがよかったのでは」とは思いました。

次回のアジア会議の開催には、タジキスタンとキルギスタンの代表が、「検討したい」と発言しました。2020年の東京でのアシテジ世界大会のあと、2021年の開催になりそうです。

ウズベキスタンでのアシテジ・アジア会議⑤-話しあい(その2)

また、「観客の子どもたちの発達課題にあわせた舞台芸術の制作は必要だろう」という点では、一致しました。

ただ、「実際には、劇団、教員、保護者の都合にあわせた、対象年齢の指定がおこなわれている」という、意見も共有されました。

「劇団は、1つの公演で、たくさんの観客を集めたいから、どうしても対象年齢を広げる」、「教員も、たとえば初等学校の低学年、高学年と分かれた公演よりも、全校生徒が一度に見られる公演を選びがち」

「道徳的主題をもった作品を好む教員も多い」、「保護者は、自分も楽しめるような、娯楽作やミュージカルを選ぶことが多い」ということでした。

私は、「日本の児童青少年演劇の公演の7割以上は、学校公演。公的な補助はほとんどなく、子どもの数も減少している。そのため、たとえば初等学校では、ある程度の無理を承知で、1-6年生がいっしょに楽しめるレパートリーでのぞむことが多い」と、発言しました。

ウズベキスタンでのアシテジ・アジア会議④-話しあい(その1)

1日目(タシケント到着日)の夜は、アシテジ・アジア会議の開会式と観劇がありました。

2日目は、テレビ局など、メディアを招いてのインタビューがあり、それから話しあいが始まりました。

参加者は、15か国から、22人。日本、韓国、中国、インドといった常連にくわえて、アシテジの事務局長。それから、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ジョージア、イスラエル、カザフスタン、キルギスタン、パキスタン、ロシア、タジキスタン、モンゴル。

話しあいの公用語は、英語とロシア語でした。2つの公用語を使える参加者は少なく、通訳をはさんでの話しあいとなりました。

話しあいのテーマは、「児童青少年舞台芸術公演における、観客の対象年齢を決めるさいの基準の開発」。英語話者とロシア語話者の2つのグループに分かれて話しあい、次に全体で話しあいました。

それぞれの国で、対象年齢は、すこし異なるのですが、「未就学児童、初等学校生徒、中等学校生徒」の3つのレベルに分けている国が多かったです。

私は、「0-3歳の乳児と、4-6歳の幼児は、かなり異なる。日本では最近、ベイビードラマが制作されるようになったが、0-3歳の乳児と保護者に限定していることが多い」と、発言しました。

ウズベキスタンでのアシテジ・アジア会議③-移動とタシケントの町とホテル

冬季、日本からタシケントへの直行便はありません。調べたら、韓国のソウルでの乗り換えが、便利で安いようです。ただ、早朝に発つ便や、深夜に着く便をのぞいたら、それなりの料金になりました。

行きは、大韓航空で、成田空港からソウルの仁川空港まで、3時間。待ち時間が長かったので、空港近くのビジネスホテルに1泊しました。(夕食に、レバ刺しやユッケを食べようか迷ったのですが、お腹をこわすといけないので、我慢しました)。

ソウルの仁川空港からタシケント空港までは、7時間。ただ、積雪のため、2時間、遅れました。空港で、英語と日本語のできる通訳に出迎えてもらい、車でホテルへ。

タシケントは、ソウルより、暖かかったです。車窓から見る街並みは、建設中の高層ビルと、旧ソ連時代に建てられたらしい低層ビルと、独特のデザインのイスラム教のモスクと、ミックスしたかんじでした。

滞在した、ホテル・ウズベキスタンは、4つ星で、部屋は広かったです。カフェやバーもあり、飲み物も買えました。ただ夜間、部屋でWi-Fiがつながらず、困りました。また、部屋にティッシュペーパーがないのには、驚きました。

ウズベキスタンでのアシテジ・アジア会議②-主催者

ウズベキスタン共和国(通称:ウズベキスタン)は、中央アジアに位置する旧ソビエト連邦の共和国です。首都は、タシケント(タシュケント)。公用語は、ウズベク語。

ロシア、中国、中東に囲まれた中央アジアの真ん中に位置する、内陸国です。古くからオアシス都市が発展し、シルクロードを通じて東西の文化が行き来する場所でした。

世界遺産のサマルカンド(「青の都」と呼ばれる)が、有名なようです。古くからの民族文化、イスラム文化、旧ソ連の文化、とさまざまな要素がみられます。

今回のアジア会議のホストは、アシテジ・ウズベキスタン・センターと、ウズベキスタン国立児童青少年演劇劇団。ウズベキスタン国立児童青少年演劇劇団は、創立90周年ということで、そのお祝いを兼ねてのイベントです。

ちなみにホストは、航空券代をのぞく、現地での滞在費(国内交通費、ホテル代、食費、観劇チケット代、観光費)を負担するのが、慣例です。そのため今回も、原則1か国から1名の代表の招待でした。

ウズベキスタンでのアシテジ・アジア会議①-目的

2月14-20日、アシテジ・アジア会議に参加するため、ウズベキスタンのタシケントにいってきました。

アシテジ(国際児童青少年舞台芸術協会)は、「児童青少年演劇の芸術水準の向上のために、個人・専門劇団・演劇団体を結集することにより、児童青少年の豊かな成長を目指す」ことを目的とした、国際組織です。

3年に1回、会議と国際児童青少年舞台芸術フェスティバルを中心とした、世界大会を開催します。世界大会と世界大会のあいだは、1年ごとに、会員の交流と対話、フェスティバルでの観劇を中心とした、芸術家集会を開催します。

また、不定期で、地域会議やイベントが開催されます。アジア会議は、アジアのアシテジ会員が集まって、自分の国の児童青少年演劇の実情を紹介したり、これからのアジアの児童青少年演劇について話しあったりするものです。

今回、私はアシテジ日本センターの代表として、参加してきました。ふじたあさや会長の都合がつかなかったこと、私が昨年、東京で開催されたアジア会議の担当グループで働いたことが、おもな理由です。

移動をふくめて、7日間の滞在では、いろいろありました。それらについて、数回に分けて、報告をします。

TYA インクルーシブ・アーツ・フェスティバル 2019③-ワークショップとまとめ

「TYA インクルーシブ・アーツ・フェスティバル 2019~未知なる未来へ:様々な障がいと個性を持ったすべての子どもたちへ〜」では、1つのワークショップと、閉会式にも出ました。

ワークショップは、梶谷真司(東京大学大学院総合文化研究科教授)の『演劇実践者のための哲学対話ワークショップ』に、参加しました。哲学対話の概要が、わかりました。

新しい学びは、刺激になります。「もっと積極的に、講演やシンポジウム、パネルディスカッションやワークショップに、参加すればよかったかな」と、すこし反省しました。

閉会式は、3人の障がいをもつアーティストの公演がありました。よかったです。ただ、ちょっと観客が少なく、もったいないと思いました。

今回のフェスをふり返ると、「とても大事で、そして新しい試みをしている。スタッフも、本当に頑張っている。ただ、それが十分、社会から認知されていないのでは」となります。

1月という開催時期(中学・高校生、大学生は、期末テストのシーズン)、「障がいと舞台芸術」というテーマから、ある程度の予想はできたのですが、とくに平日の公演は、空席がありました。貴重な機会なのに、残念だなあと思いました。

ここからの学びを、2020年のアシテジ世界大会・国際児童青少年舞台芸術フェスティバルに、どう生かしていくか。なかなか難しい課題です。

「言語教育研究会」 第23回研究会

ちょっと前ですが、12月9日は、「言語教育研究会(ケネス・グッドマン原書講読会)」の第23回研究会がありました。千葉大学名誉教授の首藤久義先生を囲んで、Kenneth Goodman の『What’s Whole in Whole Language?』を読んでいく研究会です。

参加者は6人。新しい参加者は、なし。(光村図書から、マイナビの進路指導の講師に転職された方が、いました)。

研究会は、首藤先生の『はじめてつかう 漢字字典』(第2版)の紹介からはじまりました。初版は、20万部、売れたそうです。第2版も、5万部の印刷とか。すごいですね。

前半は、来年夏の学会の研究発表の準備をしている方の資料の検討と話しあいでした。研究発表というのは、はじめての場合、どう準備すればいいかわからないものです。また、公立中学における授業の難しさの共有もありました。

首藤先生いはく、「実践交流で得たアイデアは、使ってもいい。新しい組み合わせで、創造となる」、「飾りのない実践の話をしたほうが、共感も得やすいし、ヒントももらえる」ということでした。

学会の研究発表というと、「最先端の理論を勉強したり、新しい学習指導要領を先どりしたりして、オリジナルの授業をしなくてはならない」というイメージがありますが、もっと気楽に構えてもいいようです。

後半は、テキストの26ページの前半を、読みました。「言語発達や読み書き能力は、学習者がそれを得るとき、彼らをエンパワーする」ということです。

そして、「言語学習は、実の場で、どのように世界を理解し、どのように意味するかを、学ぶことである」と続きます。

「empower」という英単語は、「力づける」と訳すことが多いですが、首藤先生は、「否定するのではなくて、もっている力に気づかせ、使わせる」と訳していました。

また、グッドマンは、「understand」という単語よりも、「make sense of」という句を使うことが多いそうです。両方とも、「理解する」と訳すことが多いですが、後者の方が、「意味を自分のなかに落とし込む。世界観をつくる」というイメージがあります。

私が、「勉強」とか「学習」という言葉よりも、「学び」や「気づき」という言葉を多用するのも、同じことかなと思いました。

楽しい学びの時間でした。

「言語教育研究会」 第22回研究会

ちょっと前ですが、10月13日は、「言語教育研究会(ケネス・グッドマン原書講読会)」の第22回研究会がありました。千葉大学名誉教授の首藤久義先生を囲んで、Kenneth Goodman の『What’s Whole in Whole Language?』を読んでいく研究会です。

参加者は6人。新しい参加者は、なし。(ちなみに、前回の研究会は、中国滞在と重なっていて、私は欠席でした)。

研究会は、私の中国報告からはじまりました。参加者のなかに、学生時代に1年間、中国に留学していた方がいて、その体験談の共有もあり、話が膨らみました。

前半は、テキストの25-26ページ、「学校:ホールランゲージの見方」を読みました。「学校は、楽しいところであるべき。子どもたちは学びを楽しみ、教員は教えることを楽しむべき」ということです。

そして、「ホールランゲージは、このような学校に対する肯定的な見方にくわえて、人間的および科学的な考え方と理論によって、支えられている」と続きます。

後半は、質問と話しあい。興味深かったのは、授業中の読みにおける、子どもたちの感想(感動)の取り扱いでした。

向山洋一の分析批評は、「感動は教えられない」というところから、はじまっているそうです。斎藤喜博の揺さぶりでは、「発問によって、感動したような気持ちにさせる」ということ。

首藤先生は、どちらにも賛成できないようで、「授業でも、感動にふれることは、いいと思う」ということでした。私は、「授業で、子どもたちが感想を共有することは、意味があるのではないか」と思いました。

それから、「まず読みかたを学んで、次に学ぶために読む。そういう考えかたは、まちがっている。両者は同時に起こるし、それぞれ支えあっている」という記述について、「本当にそうだろうか」という質問がでました。議論が、盛りあがりました。

そのほか、授業での子どもたちの感想の引きだしかた、カナダや日本の教員の給与についての情報交換もありました。

楽しい学びの時間でした。