『タックスヘイヴン』

投稿者: | 2024年9月1日

橘玲の小説、『タックスヘイヴン』(2014年、幻冬舎)を、読みました。男性更年期なのか、どうも仕事(機関紙の編集とか)や研究(研究書の読書とか)をする気にならず、気分転換になればと、図書館から借りてきました。

著者の小説は、『マネーロンダリング』(2002年、幻冬舎)、『永遠の旅行者』(2005年、幻冬舎)を、読んだことがあります。この小説は、時系列でいうと、それらの続きという位置づけのようです。

ストーリーは、「シンガポールでもっとも成功した日本人金融コンサルタント北川がホテルから墜落死した。死んだ北川の妻・紫帆は現地に、高校の同級生・牧島とシンガポールへ赴く。紫帆はそこで北川の現地妻と息子の存在を知る。北川は1000億円を扱うファンドマネージャーだったが、政治家や会社社長など、数々の顧客のプライベートバンクの口座に10億円、50億円規模で穴を開けていた。

背後に見え隠れする、日本の首領が仕組んだブラジルへの原子力発電施設輸出計画とそれを見込んだファンドとその失敗。紫帆と大物政治家の過去。大物フィクサーの影と蠢く謎の仕手グループ。そして起こった大物政治家秘書の暗殺。北川の死は自殺か、それとも殺人か? 口座から消えた巨額の資金は、どこへ送られたのか!?」というもの。

『マネーロンダリング』では、香港と日本が、おもな舞台。『永遠の旅行者』では、ハワイ・NY・日本が、おもな舞台。この小説では、シンガポールと日本が、おもな舞台です。あいかわらず、端々に出てくる情景や設定、金融実務の話は、リアルです。

400ページを超える本ですが、酎ハイを飲みながら、3日間で読み終えました。すこし古い本ですが、私の知らない世界なので、面白かったです。(結末は、今回もちょっと、無理な気もしましたが)。

そういえば、村上ファンドの村上世彰とか、マツイ棒の松居一代とか、シンガポールに移住していたなあと、思い出しました。結局は、日本に帰国したみたいですが。