『永遠の旅行者』

投稿者: | 2024年8月31日

橘玲の小説、『永遠の旅行者(上)』『永遠の旅行者(下)』(2005年、幻冬舎)を、読みました。仙台旅行から帰ってきてから、どうも仕事(機関紙の編集とか)や研究(研究書の読書とか)をする気にならず、気分転換になればと、図書館から借りてきました。

著者の小説は、『マネーロンダリング』(2002年、幻冬舎)を、読んだことがあります。この小説は、時系列でいうと、その続きという位置づけのようです。

キャッチコピーは、「元弁護士のもとに、突然舞い込んだ依頼は「20億円の資産を息子にではなく孫娘に相続させたい。1円の相続税も払わずに」というものだった! 実現可能なスキームを満載、驚愕の金融情報小説!」というもの。

『マネーロンダリング』では、香港と日本がおもな舞台でしたが、この本では、ハワイ・NY・伊豆・熱海が、おもな舞台です。おそらく著者は、これらの都市に住んで、仕事をしたことがあるのだろうと思います。それほど、端々に出てくる情景や設定、金融実務の話は、リアルです。

どの国の居住者にもならず、合法的に一切の税金を納めない、「永遠の旅行者」が主人公。国際的租税回避、戦後のシベリア抑留、統合失調症、富と貧困からロマンスまで、盛り沢山で、話が進みます。

上下巻で、600ページを超える本ですが、酎ハイを飲みながら、1週間で読みました。すこし古い本ですが、私の知らない世界なので、面白かったです。(結末は、ちょっと無理な気もしましたが。とくにミステリー仕立てにしなくても、いい気がします)。

ある人が、言っていました。「お金を貯めるには、納める税金を少なくすること」。堤義明の国土計画が、長い間、法人税を納めていなかったのは、本で知りました。トヨタも、納めている法人税は、微々たるものとか。まあ私も、収入が少ないので、納めている税金は、消費税くらいのものですが。