『火車』

投稿者: | 2024年8月18日

宮部みゆきの『火車』(1992年、双葉社)を、読みました。依頼されていた雑誌の原稿を書き終え、演劇や教育とは関係のない本が読みたくなり、本棚に長い間置いてあったこの本を手にとりました。

宮部みゆきは、1960年生まれ。東京都出身。東京都立墨田川高校卒業。法律事務所等に勤務の後、1987年、「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。1992年、「龍は眠る」で第45回日本推理作家協会賞長編部門、 同年、「本所深川ふしぎ草紙」で第13回吉川英治文学新人賞。

1993年、「火車」で第6回山本周五郎賞。1997年、「蒲生邸事件」で第18回日本SF大賞。1999年、「理由」で第120回直木賞。2001年、「模倣犯」で毎日出版文化賞特別賞、第5回司馬遼太郎賞 、 第52回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門をそれぞれ受賞。2007年、「名もなき毒」で第41回吉川英治文学賞受賞。2022年、第70回菊池寛賞受賞ということ。

ベストセラー作家ですが、これまで著者の本を読み切ったことは、ありませんでした。ずいぶん前に、『模倣犯』を購入したのですが、あまりの長さに、途中で投げ出しました。今回は、エンドレスで酎ハイを飲みつつ、5時間で、読み終えました。(2段組み、358ページの長さでした)。

ストーリーは、「休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して。なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた」というもの。

おそらく、銀行のローンやクレジットカードのキャッシングの使い過ぎが、社会問題になった頃の小説です。気軽にキャッシングをして、それを返すためにサラ金にいき、どうしようもなくなり自己破産する人々が、出てきます。

それにくわえて、他人へのなりすましがでてきます。(映画の『砂の器』を、思い出しました)。エンディングについては、賛否両論あると思いますが、私はそう気になりませんでした。

あと、私は宝くじに当たったら、全額米ドル建てMMFにいれて、それを担保に、銀行からお金を借りて、不動産に投資しようと思っていたのですが、「借金は、ちょっと怖いなあ」とも思いました。

ひさしぶりの楽しみのための読書でした。