かなり前ですが、なにもする気がなくなり、アマゾン・プライムで、パソコンの画面で、オーストリアの映画、『ありあまるごちそう』(2005年)を見ました。
以前、『フード・インク』という映画を見たことがあり、(アメリカ人の食についてのドキュメンタリー。一度も光を浴びることなく育てられる鶏、柵のなかで動けないように育てられる豚など、ちょっとショッキングな内容でした)、その関連で、興味をもっていました。
「ドイツ37万人、オーストリア22万人、フランス17万人が見た驚愕の世界! 120億人分の食料が生産され、10億人が飢えに苦しむ、ゆがんだ食の世界経済の仕組みが明らかにされる! 日本のマスコミが報じない事実が満載の、食料廃棄大国の日本人必見の異色ドキュメンタリー」という、キャッチ・フレーズです。
内容は、「スペインのトマトは、貧しいアフリカ移民が育て、3000キロメートルのたびを経て市場へ出荷される。ウィーンでは、オーストリアの大都市全員が食べていける厖大な量のパンが毎日捨てられ、原料のコムギを輸出するインドは2億人が飢えに苦しむ。大規模生産、不透明な流通とその先の飢餓という現実に、カメラが迫る」というものです。
第1次産業の最前線で働く漁師、農家、家畜業者に取材をおこない、途中、飢餓問題の第一人者ジャン・ジグレール教授の説明、最後に、世界最大の食品会社ネスレの社長のインタビューがはいります。
全体として、問題提起をしていますが、ストーリー性はありません。ただ、持ちあげると、ぐにゃっと曲がる、深海魚。延々と続く、トマトのビニールハウス。工場のような養鶏施設。それなりに、ショッキングでした。
ラスト、燃料として使われるトウモロコシの映像を見ながら、「それでも、安くて、見栄えのよい食品は、手に入れたい。私には、何ができるんだろう」と考えました。