前田康裕の『まんがで知る デジタルの学び-ICT教育のベースにあるもの』(2021年、さくら社)を読みました。
著者の本は、『まんがで知る 教師の学び-これからの学校教育を担うために』、『まんがで知る 教師の学び2-アクティブ・ラーニングとは何か』、『まんがで知る教師の学び3-学校と社会の幸福論』、『まんがで知る未来への学び-これからの社会をつくる学習者たち』、『まんがで知る 未来への学び2-教師も変革を起こす時代』、『まんがで知る 未来への学び3-新たな挑戦』を、読んことがあります。
著者は、熊本大学教育学部美術科を卒業後、公立の小中学校で25年教える。現職教師を務めながら岐阜大学教育学部大学院教育学研究科を修了。公立小中学校教諭、熊本大学教育学部附属小学校教諭、熊本市教育センター指導主事、熊本市立向山小学校教頭、熊本大学教職大学院准教授、2021年4月より熊本市教育センター主任指導主事。
「シリーズおなじみの吉良先生、今回は1人1台時代に突入した小学校に赴任しました。教員は明るく前向きな初任者からEdTechに強いスマートティーチャー、定年間近の昭和ティーチャーと多彩。子どもたちはそれぞれの個性を放ちながら、端末を学校生活に取り入れていきます」
「同校を舞台に、様々な問題に直面しつつ、それを乗り越えて成長していく教師と子どもたち。その背景には、デジタル社会になっても変わらず受け継がれる教師のあり方が描かれています」とのこと。
ICT教育は、日本の学校教育への導入が決まり、機器購入のための予算も下りたものの、現場では、賛否両論あり、いろいろ混乱を起こしているようで、タイムリーな企画かなとは思います。
ただ、この本で、いちばん印象に残ったのは、吉良先生の先輩教師の言葉でした。「教師は子どものためにと思うと、がんばりすぎて家庭を犠牲にしてしまう傾向にあると思うの」。「だから私はできるだけ早く帰宅して、家族と一緒に過ごす時間を大切にしたわ」。「旅行にも行ったし、好きな本もたくさん読んだ」
「教師自身が様々な経験から学ぶことで、自分の内面を豊かにすること」。「学ぶことを心から楽しむ教師の姿は、子どもたちもまた、学ぶことを楽しむようにさせていく」。「教師の仕事は、知識を伝えることではないの。人間らしい感動をもって、子どもたちと共に学ぶことよ」。なるほど。
また、吉良先生の次の言葉も、印象的でした。「コンピュータは記憶や計算は、人間よりもはるかに得意だ」。「しかし相手の気持ちを感じ取る心や仲間と協力して努力したりする力は、人間同士のつながりの中でしか育たない」
「文化祭や運動会などの経験を、思い出してごらん」。「協力して目標を達成していく中で、意見の衝突や困難を乗り越えて、お互いを尊重し信頼するようになっていく」。「それを日常的な学習でも、実現できるようにしていくことが、必要なんだ」。私の演劇教育への興味と、重なります。
『まんがで知る 教師の学び』と『まんがで知る 未来への学び』のシリーズ、そしてこの本と、合計7冊、著者のまんがを読んできました。教師の学びや教育について、まんがで読むのは新鮮でしたが、もうそろそろいいかなというかんじです。