住野よるの小説、『君の膵臓をたべたい』(2015年、双葉社)を読みました。
研究会で、中学校の先生から、「夏休みの課題の読書感想文の半分以上は、『キミスイ』だった」と聞き、興味をもっていました。(図書館にリクエストしてから、借りられるまで、6か月くらい待ちました)。
住野よるのデビュー作。小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿したところ、ライトノベル作家の井藤きくの目に留まり、双葉社に紹介され、出版に至る。「本屋大賞」2016 第2位、2017年8月時点で、累計発行部数は200万部。映画化もされたということです。
主人公である「僕」が病院で偶然拾った1冊の「共病文庫」というタイトルの文庫本。それは「僕」のクラスメイトである山内桜良が綴っていた、秘密の日記帳であり、彼女の余命が膵臓の病気により、もう長くはないことが記されていたという、ストーリーです。
風の強い日、外出を控えて、一気に読みました。よかったです。まず、主人公の「僕」と高校時代の自分が、重なりました。次に、「真実か挑戦か」というゲームの描きかた、『共病文庫』の使いかたも、うまいと思いました。
もうひとりの主人公の桜良の亡くなりかたは突然すぎるし、主人公の「僕」の名前を隠し続けた意図もよくわかりません。「会話中心のライトノベルだろう」という批評も、そのとおりだと思います。
ただ、読み終わったあと、胸がざわざわする気持ちは、ひさしぶりです。『世界の中心で、愛をさけぶ』、『いま、会いにゆきます』以来かもしれません。お金やパソコンの本からは得られない、小説の力を感じました。