藤沢数希の小説、『ぼくは愛を証明しようと思う。』(2015年、幻冬舎)を読みました。
「まぐまぐ大賞2017」のページを見ていたら、著者のメールマガジンが、「恋愛」部門で1位でした。それにくわえて、昨年末に、この小説がテレビドラマ化されたということ。漫画にもなっています。自分の世界を広げられるかなと思い、図書館から借りてきました。
著者は、物理学PhD。海外の研究機関で計算実験の研究、外資系投資銀行でトレーディング業務などに従事した後、作家、投資家として独立。
日本、アジア、欧米諸国の恋愛市場で培った経験と、学生時代より研究を続ける進化生物学の理論、さらには、心理学や金融工学のリスクマネジメントの技法を取り入れ、「恋愛工学」という新しい学問を創出したということです。
渡辺正樹、27歳、弁理士。誠実でまじめなことが取り柄だが、恋愛ではいつも失敗ばかり。そんな僕が、ひょんなことから「恋愛工学」のマスターに出会う。そして、真実の愛を探す冒険に旅立ったというストーリーです。
レビューを見て、「ちょっと怪しいなあ」と思いながら、読みはじめたのですが、そのとおりでした。恋愛工学は、学問と呼べるものではありません。また、読み物としても、平均以下です。ラストは、ちょっと救われましたが。
ただ、こういう小説が売れるのは、「できるだけモテたい。簡単に、女の子と親しくなりたい」という男性が多いからだろうなあと思いました。