『劇団員 南へ』

投稿者: | 2022年6月5日

上村洋の『劇団員 南へ』(2021年、紺ぺき出版)を読みました。福岡で、林陽一さん(元・風の子九州)にお会いした時に、贈っていただいた本です。

著者は、地域活動家、ブロガー、NPOゴーヤとカボス代表。大分県別府市出身。24歳から47歳まで、劇団員として、俳優、制作、オルグ(普及)として、東京、沖縄、福岡を拠点に活動。2007年から2017年までの沖縄生活を通じて、沖縄に魅了される。現在は、第二の故郷・沖縄と、生まれ故郷・大分との架け橋となるべく、NPOを立ち上げ、現在に至るということです。

「沖縄で体験した「誰かに広めずにはいられない出来事」「沖縄の魅力」「切実に日本中で共有したい事柄」等々。劇団員時代に書き記したサークル通信内での連載を基に、記事を選び抜いて、大幅な書き直しを重ねて、更に「書き下ろし」のエピソードを加えました」とのこと。

読みやすい文章で、一気読みでした。「劇団の活動の説明が、中心かな」と思っていたのですが、それよりも、沖縄の歴史や文化、精神性、直面している問題に、ページが割かれていました。やはり、米軍基地との関係は避けて通れないようで、「日本のわずか1%に満たない沖縄県に、在日米軍基地の70%が集中するという事実」が、くり返し書かれていました。

それでも、「これだけ愛着をもてる地域や人々に出会って、それを文章にまとめることができたのは、しわせなことだなあ」と、読んでいて思いました。