昨日は、こども教育宝仙大学で開催された、NPO法人シアター プランニング ネットワーク主催、『妖精の国-障がい児と家族のための演劇体験-オープンディ』に、参加してきました。
中山夏織さんが中心となって、2010年度から続いている、「ホスピタル シアター プロジェクト」(施設や病院を訪問して、障がいや病気のために劇場に足を運んで舞台芸術を鑑賞できない子どもたちに、演劇的体験を届ける)の2015年度版を、体験するというものです。
健常者と障がい者がともに携わる演劇は、「インクルーシブ・シアター」とも呼ばれ、欧米で実践と研究が進んでいます。私もすこし興味を持っていて、日本での先進的な実践が見られるかなと、参加を決めました。
参加者は、子どもが3人。大人が、15人くらい。プログラムは2部構成でした。前半(1時間)は、大学の校舎を「妖精の国」に見立て、四季をテーマにした4つの部屋(遊び場)を巡ります。
冬の部屋では、白いくず紙の敷き詰められた廊下で、雪に見立てた白い紙と戯れます。春の部屋では、木の幹が描かれた大きな模造紙に、野菜と絵の具を使って、つぼみや花などをプリントしていきます。
夏の部屋では、上下するパラシュートのような大きな布のなかにはいって、ビニールボールで遊びます。秋の部屋では、テントのなかにはいって、カプセルにはいった松ぼっくりで、音をだしたりします。
どれも、妖精役の大人の自然なリードと働きかけによって、進みます。そして、どの部屋にも、ピアノの生演奏が流れていました。
後半(30分)は、体育館で、パフォーマンスの鑑賞。舞台と客席の隔てのない空間で、言葉を使わないストーリーが、ときおり観客の参加を得ながら、進行していきます。
最初は、「ホスピタル シアター」という言葉から、赤鼻のクラウンの手品や風船遊びを想像していたのですが、6人の大人が関わる、簡素ながらも手の込んだものでした。
ストーリーは、トランクから出した材料で、四季の木々をつくっていくというものです。目で見て、音や音楽を聴くだけでなく、海水のにおいをかいだり、氷のはいった子袋に触れたり、五感をさまざまに刺激するものでした。
プログラムの最後には、質疑応答がありました。実は、「パフォーマンスは、言葉を使って、もうすこし劇的な展開でもいいのでは」と思っていたのですが、「からだに障がいをもつ子どもたちは、言葉を使う展開にもついてこれるが、知能に障がいをもつ子どもたちは、難しいことがある」ということでした。
なるほどと思いました。「障がい」と一言にいっても、いろいろなケースがあるので、すべての子どもたちにあわせるのは、大変です。
帰宅してから、配布資料に目を通しました。日本ではまだ、「健常者と障がい者がともに携わる演劇」の認知、実践や研究は、少数にとどまっているようです。自分のできる範囲で、このような実践を、応援していきたいなと思いました。