千葉大学名誉教授の首藤久義先生の「読むことの学習支援-「生活読み」の原理と実践 -井上敏夫「生活的読みを中核とする指導過程」の創造的継承-」を、読みました。
南部国語の会9月例会での講演録に手を入れたものだそうです。講演録といっても、出典は明示してあるし、58ページの長さです。研究論文といっていいかもしれません。
埼玉大学名誉教授であった井上敏夫は、「「生活読み」こそが読みの学習指導の典型であり、読みの指導過程の中核・骨子として位置付けるべきであり、生活の中の読みとりの実態に、その範を求めるべきだ」と訴えていたそうです。
首藤先生は、井上の論文、「生活的読みを中核とした指導過程」を引用しながら、「生活読み(日常生活のなかの読みとり活動)」、そして「生活読みの特質にのっとった指導過程」について、考察していきます。
そして、「かつての読解指導や「読みとり指導」のように、教科書教材として与えられた文章を読み深めるだけの指導では狭すぎます」
「井上先生は、「生活読み」の広さを十分に認識しながらも、半世紀前に具体的な指導過程の枠組みとして提唱した「生活的読みを中核とした指導過程」(「生活読みの指導過程」)に、その広さを十分に取り込むことができなかった」とまとめます。
いまから50年以上前に、読みの指導の本質をとらえていた井上敏夫に敬意を表すると同時に、そのお弟子さんたちを前にして、まったくぶれない首藤先生もすごいなあと思いました。