橘玲の小説、『ダブルマリッジ』(2017年、文藝春秋)を読みました。依頼された原稿の修正を終えて、解放感に浸りながら、酎ハイを飲みつつ、一気読みでした。
著者の小説は、『マネーロンダリング』(2002年、幻冬舎)、『永遠の旅行者』(2005年、幻冬舎)、『タックスヘイヴン』(2014年、幻冬舎)を、読んだことがあります。
ストーリーは、「大手商社のエリート社員、桂木憲一は、妻、大学生の娘と幸せな家庭を築いていた。が、パスポート更新のために、戸籍謄本を取り寄せたことから、生活が暗転しはじめる。なんと、最新の謄本には、「婚姻」欄に、妻の里美と並んで、マリア・ロペスというフィリピン人女性の名が書かれていたのだ。
さらに数日後、憲一の自宅に、一通の封書が届く。中を確認した妻は悲鳴をあげた。送られてきたのは新たな戸籍謄本で、そこには「長男」として「ケン」という名が書かれていた。それにしてもマリアはなぜ、今になってこのような行動に出たのか。事実に基づく驚天動地のストーリー」というもの。
この小説では、フィリピンと日本が、おもな舞台です。端々に出てくる情景や設定は、取材にもとづく部分が多いのか、前3作の小説ほど、詳細でリアルではありません。ただ、興味深く読みました。
私は、スポーツクラブから帰宅するさい、自転車で夜の千葉の繁華街を通るのですが、「フィリピン・パブ、いかがですか。1時間、2,000円で、飲み放題。カラオケ無料!」といった客引きのお兄さんがいます。浅黒い肌のミニスカートの女性が、数人、路上で、タガログ語らしい言語で話しています。
日本とフィリピンとの関係は、まだ変わっていない部分もあるようです。