9月10日、池袋駅近くにある、シアターグリーンで、東京演劇アンサンブルの公演、『タージマハルの衛兵』を、見てきました。
東京演劇アンサンブルの公演は、『ミラー』(2016年)、『クラチカット』(2019年)、『おじいちゃんの口笛』(2020年)、『宇宙のなかの熊』(2021年)を、見たことがあります。
原作は、ラジヴ・ジョセフ。翻訳は、小田島創志。演出は、三木元太。
「今回の上演は、コロナ禍で演劇活動の中断を余儀なくされた劇団の若い世代の劇団員が、リモートなどを駆使して、何とか演劇活動を継続することで、コロナ禍を乗り切ろうと作品を探し求め、自主的に稽古をしてきた作品が、劇団の本公演となりました」ということです。
開演20分前に劇場にはいって、中央のとてもいい席がとれました。
ストーリーは、「「建設期間中は誰もタージマハルを見てはならない」と皇帝からお達しがあってから16年。1648年インドはムガル帝国の、アグラの街。ついに完成の時を迎える前夜、夜通し警備についているのは幼馴染でもある下っ端衛兵のフマーユーンとバーブルの二人。警備中はタージマハルに背を向けて、沈黙のまま直立不動でいなくてはならない。
だが、空想家のバーブルは黙っていられなくなり、律義に立ち続けるフマーユーンに話しかけてしまう。真面目なフマーユーンとだらしのないバーブル二人のとりとめのない会話は、仕事や物事に対する二人の考えの違いがにじみ出るものとなる。そんな中、二人は突如、2万人もの民衆の手を切り落とすよう、皇帝から命令を受ける」というものです。
最初は、衛兵2人の会話で流れていくのですが、突如、劇的な展開へと進みます。それは、リアルとも、映像ともちがう、音楽や美術や舞踏をふくむ、演劇特有の距離をおいた、それでいて印象的な演出です。(これには、賛否両論あると思います。私はちょっと、引きました)。そして、ハッピーエンドでは、ありません。
劇のあと、ジャーナリストの堀潤さんと演出家のアフタートークがあったのですが、それは私の観劇の感想を、さらに深めるものでした。
「これは昔の架空の物語ですが、理想と現実、自由と支配、個と全体など、社会の枠組みの中に生きる人類が抱える普遍的な葛藤は、現代と共通しています。日本はいま、コロナと自民党の総裁選の報道一色ですが、海外では、アフガニスタンの人々は、疲弊していて、ミャンマーでは、内戦が続いているんです」
楽しいだけではない、考えさせられる演劇公演でした。