日本演劇学会の紀要、『演劇学論集』(第65号)(2017年)を、読みました。積読の状態にあったのですが、夜中にふと起きて、読みはじめました。
今回、紀要の大部分は、「日本演劇学会 2017年度 全国大会「演劇と教養」の記録」です。この学会は、演劇教育の研究者よりは、演劇学の研究者の方が多いのですが、今回は、前者の発表がいつもより多かったようです。
最初の収穫は、シンポジウムⅠの報告での「アートベース・リサーチ」の定義の整理でした。メモとして、書いておきます。
「アートベース・リサーチ(Arts-based Research)とは専門諸科学の研究プロセスにアートやその効能を利用するもので、ポストモダニズム以降の社会科学に現れた「前衛的」な手法である。
ここでいうアートのカテゴリーには、思いつくだけでも、音楽、サウンド、小説、詩、写真、映像、立体や平面の美術、インスタレーション、そしてもちろん、ダンス、演劇、パフォーマンスなど、およそあらゆるアート表現が含まれている。
これらの表現を使いながら、研究の成果を公表(上映、上演、展示)したり、また研究の過程においても、その調査行為自体に、アートを取り込もうとするものである」
シンポジウムⅡの報告は、知っていることが多く、シンポジウムⅢの報告は、ちょっとかみ合わない部分もありました。このあたりは、実際に会場で聴いたほうが、学びや気づきが多かったかなと思いました。
そのほか、川島裕子や花崎攝の研究発表も、聞きたかったです。
1冊を一気に読んで、2日間の学会に参加したような気分になりました。ここ数年、国内外の学会に参加していません。
学会に参加するには、旅費、宿泊費、参加費が必要です。研究費の支給のない立場にいると、どうしても足が遠のくのですが、「もうすこし、外に出てみようか」と思いました。