『オイリーカートに学ぶ、インクルーシブ・シアターのセミナー』

投稿者: | 2016年10月8日

昨日は、早稲田のシャロームみなみ風(介護施設)で開催された、NPO法人シアター プランニング ネットワーク主催、『オイリーカートに学ぶ、インクルーシブ・シアターのセミナー』に、参加してきました。

オイリーカートというのは、イギリスで、乳幼児と障がい児(2-19歳)のための演劇公演をつくり続けている劇団です。もうすぐ、35周年。80を超える作品をつくってきたそうです。「インクルーシブ・シアター」とは、「健常者と障がい者がともに携わる演劇」のことをいいます。

参加者は、30人くらい。プログラムは2部構成。前半が、ティム・ウェブさん(オイリーカートの芸術監督)の講演。後半は、アマンダ・ウェブさん(オイリーカートの美術監督)の講演でした。映像を多用した、ユーモアあふれる講演で、わかりやすかったです。

オイリーカートは、おもに2つの種類の障がい児向けに、作品をつくってきたそうです。ひとつは、重度重複障がい(目が見えない、耳が聴こえない、記憶力が劣っているなど)。もうひとつは、自閉症スペクトラム(人と話すのが苦手など)。

「障がい児向けの演劇は、特別な配慮が必要。公演の前に、学校を訪れるなどして、準備に時間をかけ、子どもたちの障がいの種類や年齢にあわせてつくる」

「子どもたちの五感に訴えることが大事。これは運動感覚もふくむ」、「子どもたちの参加も歓迎する、双方向性も取りいれること」、「待合室を設けるといい」、「楽器や人形、小道具も有効だ」ということでした。

「公演の最後には、子どもたちひとりひとりに向けて、彼らの名前をいれた歌をうたう。そして、スクリーンに、ビデオカメラで撮った彼らの顔を映す。『みんな、大事な存在なんだよ』ということを伝える」というのは、いいなあと思いました。

プログラムの最後には、質疑応答がありました。「障がい児向けの演劇をはじめたきっかけは」、「子どもたちの安全への配慮は」、「俳優は特別な訓練を受けているのか」、「これからの夢は」など、興味深いやりとりが続きました。もう1時間ほしいくらいでした。

「いま書いているレビュー論文のヒントが得られれば」と、軽い気持ちで参加したのですが、いってよかったです。楽しい学びの時間でした。