4月10日、新宿の紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで、青年劇場の『つながりのレシピ』(福山啓子・作、関根信一・演出)を見てきました。
青年劇場の公演は、2006年に、スタジオ結で、『博士の愛した数式』を見たことがあります。また2012年に、同じくサザンシアターで、『臨海幻想2011』を見たこともあります。
開演15分前にはいったら、ほぼ満席でした。平日の昼間のせいか、年配の方が多かったです。「青年劇場の長年のファンなのだろうな」と思いながら、席に着きました。
今回の脚本は、山田和夫の『妻が遺した一枚のレシピ』(青志社)を参考に、北海道の「べテルの家」(精神障害者の自助施設。当事者研究で有名)。豊島区の「べてぶくろ」(べテルの家の池袋版)。
そして、「てのはし」(ホームレス支援の団体)、「あさやけベーカリー」(パンを焼いて、夜回りでホームレスに配る)を取材して、書かれたということ。
「定年直後に妻を亡くした孤独なビジネスマンが、妻の遺したレシピをもとにパンを焼く中で、元ホームレスの人たちに出会い、ものの見方が変わっていき、妻の深い思いに触れていく」というストーリーです。
よかったです。精神障害やホームレスや福祉について、きちんと取材がなされていて、説得力がありました。ハッピーエンドなのですが、すべてスムーズに進むわけではないところに、リアリティがありました。
それから、俳優たちは、声が通っていて、プロだなあと思いました。シンプルな照明や音楽も、好感がもてました。
私はふだん、ひとりで研究をしていますが、「たまにはグループで、助けあいながら仕事をするのもいいな」と、思いました。そして、焼きたてのパンが、食べたくなりました。