『演劇学論集』(第57号)

投稿者: | 2015年3月4日

日本演劇学会の紀要、『演劇学論集』(第57号)(2013年・秋、中央公論)を、読みました。

花家彩子の論文、「九〇年代の如月小春の可能性-『A・R-芥川龍之介素描-』と「八月のこどもたち」-」が、巻頭にあります。

如月小春の90年代の劇作と、ワークショップ記録をもとに、それらの関連と彼女の変容を、読みとろうとしたものです。興味深いものではありました。

私は、如月小春は芸術家あるいは表現者であって、教育者ではなかったと思っています。彼女の子どもや地域の人々との芝居作りにおける戸惑いは、いまの芸術家がワークショップのために学校にはいって抱く戸惑いと、共通するものでしょう。

そのギャップや戸惑いをどう緩和して、子どもたちのために、教員と芸術家の協働を成立させるか。その役割は、教育と演劇の両方を知っている、「演劇教員」にあると、私は思っているのですが・・・。

また、中島裕昭の書評、「『演劇学へのいざない 研究の基礎』(エリカ・フィッシャー=リヒテ著、山下純照・石田雄一・高橋慎也・新沼智之訳、2013年、国書刊行会)も、読みました。

大学で演劇学を学ぶ、あるいは研究する人々のための入門書ということです。演劇教育を研究するにあたって、演劇学の本を読むことは、自分の幅を広げることになると思うのですが、なかなか読む時間をとれません。