『ミラー』

9月14日は、招待をいただいて、西武新宿線の武蔵関駅近くにある、ブレヒトの芝居小屋で、東京演劇アンサンブルとイエスシアター(パレスチナ)の共同製作による演劇公演、『ミラー』を見てきました。

演出・構成は、イハーブ・ザーハダと公家義徳。出演は、ムハンマド・ティティと8人の日本人俳優。

舞台は、「幕が開く直前、パレスチナの俳優がひとり、来ていない」という説明から始まります。そして俳優たちは、稽古してきた日々を思いながら、即興で舞台をやり遂げようとします。

日本語とアラビア語が飛びかい、日本とパレスチナの状況が交互にエチュードのように演じられ、ときに扇子やスカーフといった小道具が使われ、美しく演出されていきます。

観客は、それらをとおして、日本とパレスチナ、自分と他者、演劇をする理由などを、鏡に映したように見て、考えていくことになります。

ほとんど予備知識なしでいったので、最初は、ストーリーはどうなっているのか、どこまでが演劇なのかわからず、戸惑いました。途中から、即興の舞台を楽しめばいいんだとわかり、楽になりました。

あとで、パンフレットを見てわかったのですが、この舞台に脚本はなく、デバイジング(「テーマ」「キャラクター」「状況」などから、演出家と俳優が話しあい、体験やアイデアを共有して、即興的に演じてつくっていく、集団創作の方法)によって、制作されたということです。

また、パレスチナからきた2人は、ポーランドのグダニスク大学で演劇教育を勉強し、アウグスト・ボアールのフォーラム・シアターにも影響を受けているということ。なるほど、それぞれのシーンが、演劇の授業の発表のようなわけです。

おそらく、好き嫌いがわかれる演劇公演だと思います。ただ、「こういう試みも大切だろう。もしかしたら、共同製作でいちばん刺激をうけたのは、舞台をつくっていった演出家や俳優かもしれないなあ」と思いました。